第65章

田中尚哉は眉間に深い皺を刻んだ。大島莉理を見て、次いで感情を露わにする加藤柚奈へと視線を移す。

数秒の逡巡ののち、彼は自分の前のマイクを取った。低く、圧を孕んだ声。

「記者会見は私怨の場じゃない。いかなる告発も、証拠が伴わなければ成立しない。根拠のない言いがかりは加藤柚奈への中傷であるだけでなく、我が星海グループの名誉を貶める悪質な行為だ」

大島莉理は、こうなることを織り込み済みだったのだろう。言い返すことなく、鞄から少し古い型の銀色のノートパソコンを取り出し、報道席に向けて開いた。

「私物のPCです。ローカルのファイル。ネットには繋いでいないので、外部から改竄はできません」

淡々...

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